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フェイトsidestory螺湮(ライン)
遠坂商会の残業



 遠坂が『遠坂商会』という妖しげな雑貨屋を創めて以来、俺もアルバイトとして雇われることが多い。
 今日も遠坂商会の事務所がある新都の雑居ビルで仕事だった。
「そこ! ブツブツうるさい! ヒマなら新商品でも開発なさい!」と遠坂が言った。
「先輩、気にしないで下さい。姉さんが仕事でストレスを溜めてるだけですから」と桜が言った。
 社長命令に従い、新商品の図面を引きながら物思いに耽る。
 遠坂が創業した学生ベンチャー企業の遠坂商会だが表向き、オカルトショップにパワーストーンなど素人マニア向けの魔術雑貨を卸売りしている。
 裏で魔術協会にアゾット剣などの魔術礼装を納品したり、裏側の深い部分で俺やアーチャーを工場代わりに武器系統の魔術礼装を製造させたりしているが、投影魔術による具現化だと見抜かれないよう一流魔術師相手に偽装するのが大変なので、安価な量産品としての贋作(レプリカ)だと真実の一部だけを魔術協会に報告している。
 零細企業なので妹の桜が遠坂社長のよき相談相手であり、また参謀でもある。
 そして桜が経理関係の仕事をしていることも多い。
 小さな会社なので、お金の管理を安心して任せられるのが妹の桜くらいしかいない。
 いきなり他人に『財布』を渡しても、お金をごまかされたり、場合によっちゃ持ち逃げされたりすることもあるものだ。
 桜の能力や働きを十分に評価してあげるとともに、桜によく感謝することが必要だろう。
 小さな会社なので、社長のみならず、社長の妹が非常に大きな役割を担っている。
 桜の協力がなければ事業の成功が、ほとんどありえないと言ってよいだろう。
 小さな会社だから同族経営も悪くないものだ。
 社長の考えや心を理解してくれる身内の存在が非常にありがたいものなのだ。
 小さな会社だから身内以外の『よい人材』を得にくい。
 小さな会社において信用できる人材が身内以外に、なかなか手に入らないのが実情だ。
 大きな会社になれば、たくさんの人を採用でき、よい人材も得られるが、小さな会社だと、よい人材が、あまり入ってこない。
 トップの言葉をよく理解してくれる質の高い従業員が、極めて得にくいのだ。