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フェイト/サイドストーリー/螺湮(ライン)
第二魔法の真似事
アイリさんが動いた。
両足から震脚による轟音が鳴り響き、螺旋状の動きが膝に、腿に、腰に、胴に、背に、肩に、肘に、手に、途切れることなく流れ、指に挟んだスターリングシルバーの刃が3本飛んだ。
右、左、右、と三連撃により合計9本の銀刃がアヴェンジャーの心臓、頚椎、そして脳幹を体外に吹っ飛ばした。
魔術に頼らぬ純粋な体術による鋼鉄の徹甲弾に斉しい作用であった。
少なくとも十年間、足らぬ体術の才能を努力で補い修行し続けたことだろう。
しかしアンリ・マユとて一柱の神。
心臓や脳髄を喪失しようとも想念のみで活動可能だ。
見えぬ目で天の星辰を睨み、聞こえぬ耳を蠢かして地の霊脈に耳を澄ます。
その足元に時空の穴がポッカリと開きアヴェンジャーが足から、その中に飛び込む。
「あっはっはっは……!」とアヴェンジャーが哄笑した。
自分自身を神隠しにすることで、この時空間から姿を消したようだ。
「この霊相の歪曲と筋道……私が所属する元々の世界に続いてる……!」とアイリさんが言った。
アイリさんが持参の荷物を引っ掴み迷い無く穴に飛び込んだ。
そして穴もろとも、この時空間から姿を消す。
アヴェンジャーも条件さえ揃えば第二魔法の真似事が可能だ。
アイリさんも鋭敏な感性で正確に事態を把握し対処したようだ。
遠坂に頼めばイリヤとアイリさんの世界を覗き観る程度なら可能だろうが最早、俺のような凡人が干渉可能な範疇を凌駕した。
「エミヤシロウ……どうしましょうか?」とセラが言った。
事態の展開に理解が付いて行かないようだ。
「とにかく俺の義体を組み上げてくれないか」
こうして奇怪な事件が一つ終わった。
